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現実ブログに書かれていることは既に起きたことである
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 夕飯を食べ終えると、私は自室でネットをしていた。ハンゲームの友達とチャットしている最中、私はあることを思い出した。

 ――未来ブログ作らなきゃ

 ハンゲームの友達には悪かったけど、私はハンゲームのサイトからログアウトして、未来ブログを作ることにした。

 ブログの作るのは久しぶりだ。中学校の頃、ブログブームでやって一ヶ月ぐらい書いていたけど、アクセスするヒトがいなくなって、やめてしまった。

 それから二、三年、再び私はブログを書くことになった。たぶん、1回で終わるんだろうなと思いつつ、私は無料ブログサイトに登録した。

 どうして無料ブログサイトって、メールアドレスとかいるんだろうな、自分のID、パスワードまで作らないといけないなんてめんどくさい。
 IDは適当な英文字で入れておこうと。でも、これはわたしが書いたブログだというIDにしておこうと。
 パスワードは ●●●●●●●● と、これでブログは作れた。

 かわいいテンプレートを借りて、タイトルを考えないといけない。なんていうタイトルにしようかな? と、私は自分の未来ブログにつける名前を考える。

 ……何にしよう。

 ああ、なんで名前を考えるのに、こんなに時間かかるの!! RPGだって名前が先にあると助かるのに、名前がついていないRPGだと、名前考えるのに、一、二時間考えてしまう。なんで先に名前つけていないの!! と、心の中で叫んでおく。

 ――何しよう、何にしよう。

 未来ブログだと、私だとバレるし、マンガやアニメからのキャラから引用すると、なんかパクったとか、そのキャラ、そんなこと言わない、と責められる。

 どうしよう、カコにはもう約束したのに。ああ、なんかいい名前、いい名前!

 イスにもたれて、部屋の周りを見渡した。すると、学校のカバンが目に入った。

 そこでわたしはあることを思いついた。

 ――学校の名前をブログ名にしようと !!

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「明日、私は学校を早退するとか休むとか、そういうことを未来ブログに書いてみて」
「はい!?」
 いきなりのことでわたしは大声を出してしまった。
「こえ、大きいってば」
 カコに注意されて、私はすぐ口を閉じた。クラスのみんなも私たちに気づいたが、あの二人またやっているよという空気で、無視された。
「静かにしてよ、もう」
 カコに促されて、私は手を口に寄せて、しばらく黙った。

 カコのやりたいことがなんとなくわかった。ただカコは休みたいだけで、私は、カコが休むという未来ブログを書いて、と持ちかけられたのだ。

 自分で書いたら、なんだか、悪い気がするから私に頼む、その算段のようだ。つまり、カコはくだらない理由を欲しがって、休みたがっていたのだ。
「カーコー、それって、ただ休みたいだけじゃないの?」
「……バレた?」
 カコは図星と言わんばかりに、笑いながら答えた。
「だって、こういうことでもないかぎり、休めないもん」
「あんたね、いつもそうやって、休んでるじゃない?」
「いいでしょう。なんかただ休むだけじゃ罪悪感あるから」
「で、わたしが書いたら休む理由になる?」
「そそ」
「……はあ」
 カコのやりたいことはよくわからないけど、未来ブログでカコが休むって書いたら、罪悪感なく休めることだけはわかった。
「おねがーい」
「……わかった。一度だけね」
「わーい、ありがとう、未来」
 カコはステキな笑顔を見せて、わたしに微笑みかける。ホント、天真爛漫な笑顔だった。
 名前、生年月日は勿論、出身中学校、クラブ活動、家族構成などなど、矢島先輩の個人情報がすべて載っていた。ある意味、個人情報の流出だ。
 ――これはひどいと思い、私は、カコに、その部分を見せた。
「……これって、なんかやばくない?」
「なんで?」
「ねえ、なんでそんなに落ち着いているわけ、だって、これ……」
「具体的に書いているんでしょう?」
「え?」
 カコの声が私の脳を刺激する。とっぴよしもないところで怖いことをいうカコ、かわいいカオに似合わずに言うその言葉が、私の背筋をぞくりとふるわせた。
「未来ブログは具体的なことをブログに書かないと夢が叶わない。だから色々と、その人の情報を書いたじゃないの?」
「ちょっと待ってよ、おかしいって、もうこれは犯罪の域じゃ」
「だいじょうぶ、具体的なこと書いたって言っても誰も見やしないって、見ても興味持たないって。第一、わたしたちが興味持ってるのって、未来ブログだし、矢島先輩が誰かなんてどうでもいいことでしょう?」
 それもそうだ、カコの言うとおり、書いてる内容には興味ない。ブログなんて誰が書いているのかわからないし、見ても書いている本人に興味がない。ふーんと思って、流し読みするぐらいだ。
「うん、それもそうね」
 カコのいうことを納得してしまった私、ついこんなことを言ってしまった。
「私も未来ブログ書こうかな」
 私がそういうと、カコは待ってましたといわんばかり、私の目の前にやってきた。
「ねえ、未来ブログ書くなら、あたしのこと書いてくれない?」 
「え?」
 いきなりの展開に私の頭は追いつけなかった。
「ね、ホントでしょう?」
 きょうこはそういうと自分のケータイをカバンの中へと戻そうとする。
「待って待って、よく見えなかった」
 4、5秒だけ見せられてもよくわからないってば。
「わかった、今からそのブログのアドレスおしえる」
「うん、了解」
 私はケータイを出して、きょうこからそのブログのアドレスを教えてもらい、自分のケータイからアルミの未来ブログを読んだ。

 未来ブログ……、自分が未来に書いたことが叶うブログ。女のコなら、そんな夢ブログや妄想ブログとか考える。でも、ほとんどの場合、そこで終わって、実際の夢は叶わないまま、頭の中で終わってしまう。……それがオチだ。しょせん、妄想どまりだ。

 しかし、このコのブログを読んでいくと、段々と、未来ブログっていうのがありかもしれないと思った。
 このあるみという矢島先輩に対する想いがこのブログにはたくさんある。まるでこのブログ自体、矢島先輩に対するラブレターのようだ。

 もしかして、その想いが現実となって、現れたのかも。

 そんなことをうっとりとしているとあるものが目に入った。それは八島先輩の個人情報だった。

 未来ブログってすごーい!


2008/04/14(月)22:59:31 | アルミの日記

 未来ブログを書いていたら、矢島先輩と恋人関係なっちゃった! もーそう好きなわたしでもできたのだから、ぜったい叶う! だからアルミが未来ブログの書き方について教えるね。

 未来ブログはみんなに公開して、それから〇〇の未来ブログって書いてね。ニックネームでもいいけど、ホントの名前の方が、夢が叶う確率が高くなるよ。
 後は投稿時間を自分の夢を叶えたい時間に設定して、具体的な内容を書けばオーケー! これであなたの願いが叶うよ。

 もし、夢が叶わないのなら、それは具体的に書いていないあなたが悪いの! もっと具体的に、本名もばらすぐらいなこと(笑)を書かないと叶わないわ。
 私の場合すべて、色々とばらしたから、色々なことが叶った! だからみんなもやってみてよ。


 書けばなんでも願いが叶うってことを聞いたとき、私はすかさずこういった。
「うそつくなって!」
 かるーく、頭をこちんとしてやった。カコがいたーいと泣きそうなカオが見えて、うれしかった。
「うそじゃないって」
「うそじゃないって、じゃない! イマドキ、そんな冗談はやらないわよ」
「ホント、ホントだって」
「じゃあ、証拠見せてよ」
「証拠?」
「うん、未来ブログってホントに夢が叶うのかって」
 私はそう詰め寄ると、きょうこはしばらく頭を抱えたが、しばらくすると、「うんいいよ」と、返事した。
「え? あるの?」
「ちょっと待ってて、ケータイ取りに行く」
 カコは机から立ち上がって自分の席にあるカバンからケータイを取りに行った。

 どうやら、カコはネットから未来ブログについての情報を集めたみたいだ。となると、未来ブログというのはホントにあるようだ。
 でも、未来ブログなんて、あるわけがない。もし、書いただけで未来が叶うのなら、みんなやっている話だ。
 けど、万が一、書いただけで願いが叶うのなら、それって、無敵じゃない? お金が欲しいと書けば、お金がくれるし、私が好きな彼に、好きって書けば、好きになってくれるってことじゃない? 

 ……ちょっと欲しいかも。

 でも、よく考えるとその手の詐欺って、ある。
 未来ブログ書けば、恋愛がうまくなるって言って、お金をむしりとろうとする悪質詐欺が。

 ……そんなのを信じているのかな? カコ。

 私はそれ、詐欺だよと言おうと思っていると、カコはケータイを持って帰ってきた。
「ねえ、カコ、未来ブログって」
 私がそれを言い切ろうとする手前、カコは「ほらほら、ミキ、見て、これ」と私の言葉をスルーし、自分のケータイの画面を見せてきた。
 そこにあったのは、アルミの未来ブログというタイトルで書かれたブログであった。

ミキ、未来ブログって知ってる?」
 昼休み、教室で親友のカコと一緒にお弁当を食べていると、急にそんなことを言ってきた。
「知らない」
「ふーん、知らないんだ」
 カコは小ばかにするようにわらいかけた。私は頬を膨らませ、不満げなカオを見せたが、カコは気づかなかった。
「それで、ね。未来ブログっていうのはね」
「はい、はい」
 はっきりいって、興味なかったから、二つ返事で返す。それが気に食わなかったのか、きょうこは「やっぱり、やめた」と言って、説明をやめた。
「やめるな!」
 私はカコの肩を揺らして、未来ブログについての情報を吐き出せる。
「わかったわかった、激しいってば !!」
「あ、ゴメン」
「もう、痛いよ」
「ゴメンってば」
「それより、知りたくない? 未来ブログ」
 ホントは知りたくないけど、なんだか断ると悪い気がしたので、私はカコが薦める未来ブログについてたずねてみた。
「ねえ、未来ブログってなんなの?」
「未来ブログっていうのは、ね」
「やっぱり、やめたっていうのはなしね」
「……」
「黙るな!」
「ゴメンゴメン」
「もう」
「で、未来ブログっていうのは、ね」
「うん、うん」
「書けば夢が叶うブログのことを言うの」

未来ノ現実ブログ


ルール
未来ブログに書かれたことは必ず起こる。
この未来ブログは魔法などはかかっていない。
対象者がこの未来ブログに書かれても、無視していいもよい。
ただし、対象者が未来ブログを無視したことでどうなるかは、誰も知らない。
ギミック
このブログは投稿時刻と小説の 時間と連動している。
ハイパーリンクが存在し、そこから未来ブログの謎を知ることができる。
コメントがミキ達の運命を変える可能性もある。
助けるのも、陥れるのも、あなたのコメントにかかっている。

……つまり、現実ブログと未来ブログは“シンクロ”しているのだ。

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上村未来(ミキ)
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女性
誕生日:
1991/11/05
職業:
高校二年生
趣味:
ケータイイジリ
ブログの紹介:
 この現実ブログは私が持つ、“未来ブログ”についてまとめたブログ。
 “未来ブログ”は、親友のカコに頼まれて、書くことになった。すると、“未来ブログ”で書いたことが次々と現実で起こるようになってしまった!
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