現実ブログに書かれていることは既に起きたことである
五月二日、未来ブログに書いたとおり、カコは休んだ。カコの休み癖はけっこうあるけど、二年生に入って始めてだった。
二時限目の授業で、担任のイワモトが「下地が休んだの、誰か知っているか?」って尋ねてきた。どうやら、カコは前もって電話していなかったようだ。
そのため、二時限、三時限にある休み時間中、「なんでカコ休んだろうか」と、クラスでちょっとした騒ぎになった。
そんな中、私が次のクラスの準備をしているとき、オンナのコの声がした。
「ミキさん」
どうやらクラス委員長のキョウコが私に話しかけてきたみたいだ。
「カコさんについて、何か知っていますか?」
相変わらずの威圧的な態度、どうもこのヒトの前だと、私も敬語じゃないといけないような気がする。
「いえ、知りません」
「じゃあ、ちょっと質問なんですが、友人のあなたから見て、なんでカコさん休んでいるでんしょうか?」
「さあ、風邪じゃないの」
「風邪? 五月病じゃないの? 春休みが恋しくなって、ただ休んでいるじゃないの」
……なかなかするどい。さすが、カコとは小学校からのつきあいのあるキョウコだ。
「それにしても、ミキさん。あなたみたいなマジメな方がどうしてカコさんと仲がいいのかしら」
「マジメかどうかはわからないけど、カコとは高校に入ってすぐ気があったから」
「カコさんの行動には問題なところ多くないかしら」
いちいち愚痴のようなことをこぼすキョウコ、自分ではそれが余計なことだと知らずに、次々と言うのだからたまったものじゃない。……お口にチャックをつけてあげたいくらいだ。
「問題なとこ、あるけどさ、友達だからそれぐらい、わかってあげなきゃ」
「まるでミキさんがカコさんの保護者になったような言い草ね」
「別にいいでしょう」
「第一、カコさん。高校生にもなって、破天荒な行動が多すぎる。文化祭でメイドカフェやろうとか、青空ライブやろうとか、とっぴな考えばかり出してくるんですから」
いちいち、上品な言い方で裏ではいやらしいことを口にする。しかも、言ってくるほとんどのことは、カコに関することだ。
キョウコはカコをライバル視しているところがある。カコはそう思っていないけど、なぜかキョウコはいちいちカコにつっかかってくるところがある。やっぱり付き合いが長いとお互いのことわかっているのかな。
とはいえ、私はカコの友達だ。カコのことを悪くいえないから、適当に受け流す。
「それが彼女のいいところじゃないんですか?」
「いいところ? 自分の本能で生きているんじゃない? ねえ?」
こうやってキョウコはヒトのいやな所を掘りだして、ヒトにそれを投げつけて確認させてくる。……自分はそうじゃない、相手がそうだから、自分もそうだといわんばかりの質問だ。
もし、私がハイと言えば、自分はイイエと言って逃げる。そして、ハイと言わせたらヤツを犯罪者にしたてあげるのが得意なタイプ、そんな人間だ。
自分が主語でハイかイイエかで話すとしたら、絶対どちらも選べない、そういうずるがしこい女がキョウコなのだ。
だから私は「それが彼女の個性」と適当にあしらった。それ以上、会話の進展がないと思ったのか、「そう」と言って、この場から立ち去った。
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プロフ
名前:
上村未来(ミキ)
年齢:
32
性別:
女性
誕生日:
1991/11/05
職業:
高校二年生
趣味:
ケータイイジリ
ブログの紹介:
この現実ブログは私が持つ、“未来ブログ”についてまとめたブログ。
“未来ブログ”は、親友のカコに頼まれて、書くことになった。すると、“未来ブログ”で書いたことが次々と現実で起こるようになってしまった!
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