ここであることを思った。……なぜ、クボスケはカコよりも私の方を先に聞いたのか? まさか未来ブログの管理人が私だと疑っているのか。
そんな疑問が浮かんだ私はそのことについて、尋ねてみた。
「ところで、どうして私に聞いたの? カコの方に聞けばいいのに」
「ああ、それは。カコと一番仲がいいのはキミだから、ただそれだけ。ボクは本人に聞く前にそれについて相談しようと思って」
なるほど、私を疑っているのではなく、カコのことを心配し、親友である私の意見を聞いてから、どう話そうかと思ったわけか。私を疑っていたのではないと、少し安心した。
「大丈夫、カコはそれに反応するコじゃない。それに、未来ブログって言っても、先にブログを見たヒトはいないでしょう? 冗談じゃないかな?」
「うん、その可能性は高い。でも……」
「でも?」
「きっちりと5月2日8時40分00秒と投稿時刻がきっちりとしている。これは作為的な感じがしている」
「作為的って言うと?」
「カコさんをネット上でいじめるために、後から書いた過去ブログなのかもしれない」
「カコが書いているのに、カコブログ?」
「そっちじゃない。過去に起きたことを書く普通のブログのことだよ」
地でボケた私、かなり恥ずかしかった。照れて頬が緩んだ顔を口元に隠しながら、過去ブログのいじめについて追及した。
「それでいじめるってどういうこと?」
「この前、カコさん休んだろう? 勝手に休んだことをいいと思わない誰かが、ネット上にブログとして書いたんだ。――これはもう立派なプライバシーの侵害だ、許せない行為だ」
クボスケの言いたいことがわかった。私が未来ブログとして書いたことが、他のヒトから見れば普通のブログであって、現実で起きた後のことがその未来ブログに、書かれているわけだ。
言い換えれば、誰も5月2日8時40分00秒以前のブログを見ていないから、このブログは未来に書いていない、普通のブログだったわけだ。
運が悪いことに、クボスケは、これはいじめブログの可能性を示唆した。書かなくてもいいことをブログに書いたのだから、いじめだと指摘した。
そんなことまで考えていなかった私はこれはマズイと思った。なんとか、これが未来ブログであることを説明しないといけなかった。
「でも、クボ。もしそれがホントに未来ブログならどうする?」
「それはないって、仮に、5月2日8時40分00秒以前にこの未来ブログが書いていたとして、それ以前に、未来ブログを見たヒトはいない。僕がこのブログを知ったのは三日前、真夜中に送られたチェーンメールで知ったのだから」
「チェーンメール?」
思いがけない単語が出て、思わず聞き返す。
「うん、ニッシーにも確かめたから、チェーンメールのはずだ。カコ大丈夫か? と言っていたしな」
「それで誰? 送ったのは?」
「送信者はフリーメールのアドレス。捨てアドで送られたものだと思う。ミキさんは送られなかったの?」
「ええ、……そういうメールは拒否ってるから」
「そう、言わない方がよかったかな」
「いいって、それよりも、カコが休んだからいじわるしようとして、この未来ブログができたということなの?」
「僕はそう考える。フリーメールで送られたのも納得できる」
「もし、投稿時刻以前に、カコが休む前に、未来ブログが更新されていたら?」
「それだとホントに未来ブログだ」
「じゃあ……」
「もうそろそろ予鈴だ、席につこうか」
気づけば、八時四十分前、もうすぐ予鈴が鳴るその瞬間だった。
――キーンコーンカーン
「鳴ったね。この話はカコさんには内緒でね」
「うん」
クボスケは自分の席へと帰り、クラスメイト達も自分の席へと戻っていった。
その間、私は未来ブログがホントに未来ブログだということを証明しないといけない一方、カコにあることを確かめないといけないと思った。
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“未来ブログ”は、親友のカコに頼まれて、書くことになった。すると、“未来ブログ”で書いたことが次々と現実で起こるようになってしまった!