「クボスケ」
少し入りづらい空気の中に割ってはいるスキンヘッドの男子生徒、ニッシーだ。
「ニッシー?」
「上村、未来ブログについて話しているんだろう? 俺にも言わせてくれ」
相変わらず、テンションが高い。ここはイヤと言ってもしゃべるだろうから、勝手に喋らせておけばいいと思い、「はい、どうぞ」と言った。
「未来ブログって、面白いよな?」
「はい?」
予想斜め以上のことを言われて、首をかしげた。
「未来ブログって考えてみたら、未来に起きたことを書かれているんだろう。ってことは、絶対そうなるわけだ」
「言ってる意味わからないんだけど」
「簡潔に言うと、未来ブログを現実にするためには、何か材料が必要になるわけ。今回、カコがあらかじめ休むのを知っていたから、休むって未来ブログに書かれたわけだ」
「へえ」
ニッシーは未来ブログの管理人の玲子が、色々な情報を知った上で、未来ブログに書いて、裏で工作して、それを現実にさせる、と考えている。どうやら、ニッシーは一視聴者として未来ブログを見ていて、自分とは関係ないと思っているようだ。
「あれ、いつものミキなら未来ブログって魔法かかっているから、そのとおりになるとか言うと思ったけど」
「ええ、そうかな?」
「カコがそういっていたけど」
……カコめ。デタラメなことを言って、もう。
「でも、ホントに未来ブログに書かれていることが現実になっていくのなら、何かと面白いな。未来ブログに書かれているコメントも最高だし」
「コメント?」
「見ていないのか? 多分、このクラスにいる誰かが名無しとして、書いているんだ。いや、誰が書いたと思うと楽しくてな。もしこれからも更新続けるなら期待大、もっと無茶なことを未来ブログに書いてほしいわ」
ニッシーはそういって、私達を背にして去っていく。
「どこに行く?」
クボスケは尋ねる。
「隣のクラス、ちょっと教科書借りにな」
そう返事して、ニッシーは教室から出て行った。クボスケも「じゃあ、ボクもこの辺で」と言って、私の前から消えていった。
04 | 2024/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
“未来ブログ”は、親友のカコに頼まれて、書くことになった。すると、“未来ブログ”で書いたことが次々と現実で起こるようになってしまった!